計測・測定機器

ノギスの使い方をマスターすることは、機械整備や宝石製作、DIYまで様々な分野で欠かせないスキルです。ノギスは正確な測定が求められる作業にとって不可欠なツールであり、また様々な作業に応じた形状のノギスが多数作られています。この記事では、ノギスの測定方法やメンテナンスについて、正確性を求められるお仕事の方からDIYを始めた初心者までが役立つ情報をご紹介します。ノギス上手に長く使える方法をぜひ知ってください。

1. はじめにノギスとは

ノギスは、精密な測定が求められる多くの場面で使用される重要な測定工具です。この工具の主な機能は、測定する対象物の内外の寸法、深さ、段差などを測定することであり、一般的な定規やメジャーでは測り切れない精度の測定と汎用性が特徴です。測定部分の爪(ジョウ)をスライドして加工した部品などの各寸法を測定できます。スタンダードなアナログノギスや数値の確認がアナログノギスより簡単なデジタルノギス、それぞれの中間的な位置づけのダイヤルノギスのほか、対象物に応じたジョウの形状や機能を含めると様々な種類が存在し、それぞれ特有の特徴と使用方法があります。

2. ノギスの種類

・アナログノギス

ご紹介する中で最も一般的なアナログノギスは、最も基本的な形式のノギスです。スケールと目盛りを直接読み取り計算することで測定値を求めるためノギスの読み方に慣れが必要ですが、これによってより精度の高い寸法が測定でき、またアナログノギスを使う上での基礎なので、後述する「ノギスの基本的な使い方」を読んで把握していただきたいです。

本体構造がシンプルで故障の心配が少なく、毎日の作業で使われる技術者や、電子デバイスを使用しない環境での作業に最適です。精基本的なノギス測定のコツと注意点を熟知する必要があります。

・ デジタルノギス

デジタルノギスは基本的な操作自体アナログノギスと同じですが、ディスプレイにより測定値をデジタル表示するため、ノギスの読み方が直感的で初心者にも理解しやすくなっています。また最新のモデルには測定結果をデータ通信できるデジタルノギスも登場しています。

一方で電池切れやディスプレイ、電子部分の破損といったアナログノギス以外の故障に対して気を使う必要があります。

高速で正確な測定が求められる環境に最適。ユーザーフレンドリーで、初心者やデジタル機器に慣れているユーザーに推奨されます。電子部品の故障等に気を使う必要があります。

・ダイヤルノギス

ダイヤルノギスは、アナログとデジタルの中間に位置する測定ツールです。ダイヤル式の表示を採用しており、針が指す値を読み取ることで測定します。デジタルノギスに比べて電池の交換や電子機能の故障の心配が少ないため、長期間にわたって安定した性能を発揮します。アナログノギスのように測定方法を覚えて精度の高い測定が可能です。ダイヤルノギスの場合もダイヤル部分の破損等に注意が必要です。

デジタルノギスのように素早い測定が求められる作業や電子デバイスを使用しない環境での作業に最適です。アナログノギスと同様に基本的なノギス測定のコツと注意点を熟知する必要があります。またダイヤル部分の故障等に気を付ける必要があります。

これらの基本的なノギスの種類を理解し、各々の特性を生かした使い方を身につけることで、あらゆる測定作業の精度と効率が大幅に向上します。

さらに爪(以下ジョウ)の形状によってさらに特殊な測定にも対応することができます。

・ロングジョウノギス

ジョウが一般的なノギスよりも長く、通常のノギスでは届かないような管や奥まった部品の外寸、内寸を測定できます。

・ピッチノギス

ジョウの先端がとがっており、先端を基準に対象物の「穴の中心間寸法」を測定できます。

・両丸口ノギス

ジョウの一部測定面を除いてカーブしており、くびれた部分の外寸や袋状の部品の内寸など通常のノギスでは測定できない形状の部品に対応します。

さらにはノギス本体の材質等でも特性が変わるので、どのような作業環境なのかを把握しそれらに適するモデルを探してみてください。

3. ノギスの基本的な使い方

ノギスは精密な測定ツールであり、その使い方をマスターすることは、さまざまな工具の使い方において非常に重要です。ここでは、初心者のためのノギス使い方ガイドとして、基本操作を順番に説明します。

ステップ 1: ノギスの選び方

まず、使用するノギスのタイプを選びます。前述したようにアナログノギス、デジタルノギス、ダイヤルノギスをベースにどのような作業環境かによって判断し、また特殊な測定には専用のノギスを選んでください。

※「ノギスの種類」の項もご覧ください。

ステップ 2: ノギスの確認とメンテナンス

ノギスを使用する前に、正確な測定のために本体が汚れや傷などがないか確認しておきます。

ステップ 3: ノギスの基本操作 ※ノギスの最小読取り値0.05mmの場合

1.  対象物を挟む

ノギスのジョウをスライドさせて測定対象を挟みます。力を入れ過ぎないよう注意してください。

また合わせる場所を変えることで、『内径、深さ、段差』の測定も可能になります。

目盛の見方はどの測定でも、後述の【2.読み取り】と同じです。

2. 読み取り(アナログノギスの場合)

ノギス本体の本尺目盛側で1mm以下を切り捨てた値を基準として、本尺目盛と副尺目盛のラインが一直線になる所を見つけて0.05mm単位の値を求め、最初に基準に設定した値を足すことで正確な測定値が求められます。

3.  記録

測定結果を記録します。

ステップ 4: ノギスの保管


使用後は、ノギスを清潔に保ち、適切に保管してください。

上記のガイドを通じて、ノギスの基本的な使い方をマスターし、正確な測定を行うことを心がけましょう。また、ノギス測定のコツと注意点については、次の「ノギス測定の精度を高めるコツ」もご覧ください。

4. ノギス測定の精度を高めるコツ

正確な測定のための注意点

測定作業を正確に行えるかどうかで、部品加工や組み付けといった作業の仕上がりが大きく左右されます。以下の注意点に気を付けて測定してください。

1. 適切なノギスの選択

使用するノギスの種類が測定対象に適している必要があります。対象物が複雑な形状の場合、一般的なノギスのジョウでは対応できないこともあるので、相手がどのような物かを把握し必要に応じて専用のノギスを準備してください。

2. ノギスの正しい配置

測定対象に対してノギスを正確に配置することが重要です。ノギスのジョウが対象物に均等に接触していることを確認します。対象物に適切に接していないと正確な値が出ません。

3. 測定値の再確認

測定値に誤りが無いようになるべく複数測定を行ってより正確な値を求めてください。例として円柱状の部品の直径を測定する際は基準面が分かりづらく測定値がずれやすいので注意が必要です。

よくある間違いとその回避方法

ここでは、ノギスの使い方におけるよくある間違いとその回避方法をご紹介します。

1. 間違ったノギスの種類の使用

繰り返しの説明になりますが、対象物の形状に対し適切なノギスを選ばないと測定自体ができません。また作業上、迅速に測定する場面や屋内の暗い場所でアナログノギスを用いると値が読み取りづらく効率が落ちる場合もあるので、例えばこういう場合では視認性の良いダイヤルノギスやディスプレイ発光するデジタルノギスが適しています。

2. 不正確なゼロポイントの設定

測定開始前にノギスをゼロに設定することは、正確な測定の基本です。特にデジタルノギスの場合、直前の測定のまま置いているとその時の値が残っていて次の値がずれることもあるので、電源を入れるたびにゼロリセットを行うことが重要です。

3. ノギスの不適切な保管とメンテナンス

ノギスは精密測定ツールであるため、適切に保管し、定期的にメンテナンスすることが不可欠です。ノギスに錆が発生したり落としてしまったりすることで正確な測定ができません。

後述いたしますが、万が一ノギスに故障があった際はメーカーのアフターケアについて確認しましょう。

4. 測定面の誤読

特にアナログノギスでは、目盛りの正しい読み方を理解することが重要です。ノギスの読み方に慣れるまで練習を重ねましょう。測定値の計算が不安な方はまずは数値の表示が分かりやすいデジタルノギスを選んでみてください。

5.ノギスのメンテナンスとケア

ノギスは、正確な測定を提供する重要な測定ツールです。しかし、その精度を長期間維持するためには、適切なメンテナンスとケアが不可欠です。ここでは、ノギスのメンテナンス方法と長期間の精度を保つためのアドバイスを紹介します。

清掃と保管の方法

1. 定期的な清掃

ノギスは使用後すぐに清掃することが重要です。柔らかい布を使用して、ノギスのスケール部分や可動部分の汚れや埃を優しく拭き取ります。特にデジタルノギスの場合、汚れがセンサーに影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。

2. 乾燥状態の維持

清掃後、ノギスは乾燥した状態に保つことが肝要です。湿気は錆の原因となるため、乾燥した場所に保管することが望ましいです。

3. 適切な保管

ノギスは、専用のケースや布袋に入れて保管します。これにより、埃や直接の衝撃から保護され、長期間の精度が維持されます。

〜長期間の精度を維持するためのアドバイス〜

1. 定期的な校正

ノギスは定期的に校正することで、測定の正確性を保つことができます。特にお仕事等で頻繁に使用する場合、製造メーカーが指定する方法で校正を受けることをお勧めします。なお、この校正や修理といったアフターケアはメーカーや使用するノギスのモデルによっても異なるので、ノギスを選ぶ時点でこのアフターケアの有無も確認しておくと良いでしょう。

2. 適切な使用

ノギスは精密測定ツールであり、扱い方に注意が必要です。過度な力を加えたり、不適切な方法で使用したりしないことが、長期的な精度に影響します。

3. 環境への注意

ノギスを使用する環境も重要です。極端に高温や低温、湿気の多い場所では、ノギスの精度に影響が出る可能性があります。

適切なメンテナンスとケアにより、ノギスは長期にわたってその精度を維持し、正確な測定結果を提供し続けることができます。ノギスの種類によってはメンテナンス方法に違いがあるため、デジタルノギスやダイヤルノギスなど、ご使用のノギスに適したケア方法を実践しましょう。

6.おすすめのノギス

ミツトヨ M型標準ノギス (0-150mm) N15

価格の安いノギスも多くありますが、測定機器だからこそ信頼できるブランドを使いたいという方にオススメなのが【ミツトモ】のノギスです。

【ミツトモ】は、業界で最も多い5,500種類以上の商品を取り扱う世界有数の精密測定機器の総合メーカーで、世界のプロの現場で使われているからこそ安心して使用できます。

シンワ デジタルノギス ミニ2 100mm

デジタル式なのでアナログ式のように細かな目盛を読み取る必要ないため、初心者でも簡単に測定することができるので気軽に使いたい方にオススメです。

大型液晶表示により文字が見えやすく、オートパワーオフ機能により電池を無駄に消費することがありません。

ノギスは正確な測定を求められる重要な測定工具です。だからこそ正しい扱い方を学び、信頼できるブランドのノギスを使用することをお勧めします。

この記事をみんなにシェア