過去一の工具本です

会社の問い合わせ窓口に一本のメールが来ました。

アメリカで出版されて人気となっている「工具図鑑」の監修をお願いできないか?

というものでした。

私は最初は「図鑑」という言葉に興味を持ちましたが、工具に関連する、しかもアメリカ人の執筆であるため、非常に難解で私には監修できないものだろうと考えました。

しかし、ダメなら断ることもできるので、まずは編集者の方とお話しすることにしました。

実際に手渡された図鑑は、分厚くて重く、質の高いものでした。

そして、その図鑑は私の予想とは全く違うものでした。

著者はアメリカ人のセオドア・グレイ氏。

彼はイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校とカリフォルニア大学バークレー校大学院で学び、ウルフラム・リサーチの創業に関わったことや、『ポピュラー・サイエンス』誌のサイエンスライターとしての活動も行っています。彼は理系のエキスパートです。

この本は『世界で一番美しい元素図鑑』シリーズとして、

日本版は『世界で一番美しい工具図鑑』として出版される予定です。

美しさの定義は人によって異なると思いますが、私にとってこの本はまさにに「美しい」本でした。

なぜなら、この本は単なる図鑑ではなく、著者のセオドア・グレイ氏の人生を工具と共に振り返る「回顧録」だったからです。

工具は私たちの日常生活に溶け込んでいます。

モノに興味を持つ人ほど、工具は私たちの記憶に強く残ります。

そして、それぞれの工具の記憶が私たちの人生を豊かにしていることは疑いの余地がありません。

私は監修の仕事を忘れ、セオドアワールドに溺れてしまいました。

本の中には、私が見たことのない工具がたくさん掲載されています

この本に掲載されている工具は、カタログに載るような新品ではなく、著者が信じられないような手間と時間をかけて収集した工具から選りすぐられたものです。ドキュメンタリーさながらに、数多くの想い出と共に紹介されている工具は、
工具に刻まれた経年変化と共に、私の頭のなかに空想の世界を広げてくれます。

もともとアメリカ文化が好きで、アメリカのDIYお父さんに憧れていた私にとって、この本はまさに直球のど真ん中でした。

本の中には、私が見たことのない工具がたくさん掲載されています

数十年前のアメリカの工具の変わった形状を見ると、どんな人たちが開発し、どんな思いで使用され、どんな人生を支えてきたのかを想像せずにはいられません。

工具好きはもとより
アメリカ好き
DIY好き
メカ好き
モノ好き
 
の皆さんにとっては一生の宝モノとなる本になることは間違いありません。

どうぞお楽しみに!

監修者プロフィール

高野倉匡人

国内外17店舗の上質工具専門店「FACTORY GEAR」の創業社長。 TBSラジオ・ラジオ大阪「工具大好き」TOKYOFM 「TOOLS BAR RADIO」 メインパーソナリティー。 You Tube「ファクトリーギアTV工具好き」はチャンネル登録11万人。

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